「使いこなす」とは
システム開発現場に限らず例えばガラケーからスマホへ転換をしたいけど躊躇されている方などが「どうせ使いこなせないから・・・」と言うのをよく耳にします、私の叔母やお袋もそう言ってずっとガラケーを使っていました。
今は普通にスマホを使ってLINEで連絡しています。
でも「使いこなしている」と言いません。
じゃあ「使いこなす」って何なんでしょうか?!
機能の全てを把握して全て使う事でしょうか?
そんな事PCはもとよりスマホだってやってる人どれくらいいらっしゃるのでしょう?
今回はそんな定義が曖昧な「使いこなす」という言葉についてのお話です(若干愚痴かも)
話をシステム導入に戻します。
先日新規導入を検討されているクライアント様に現システムをブラッシュアップした紙芝居でご説明したのですが、第一声が「どうせ使いこなせないから」でした。
これを聞いた瞬間僕は「あ・・・頑張りすぎたな・・・」と若干後悔しました。
クライアント様の要望は様々です。
決して現状改善を求めている会社様ばかりではありません、このケースはそこを見誤ってしまったケースです。
別の投稿でも書きましたが良いSEの条件の1つとして僕は「クライアント様が気が付かないような提案ができる」と考えていますので、最初のご提案の時に「このSEはこのレベルなのか」と思われたくなくて色々頑張ってしまったのだと思います。
要するにエンジニアとしての矜持が強すぎるのが欠点なのです。
またクライアント様のリテラシーは様々です、よつばもリテラシーが低いからという理由でお断りする事はありません。
むしろそういった会社様にこそ寄り添うようなシステムをご提供したいと考えています。
システムエンジニアの立場としては不満点・不具合を改善し業務をより良いものにし、出来れば業績も上向き「おたくで導入して良かったよ」と言われるのがベストなのですが、必ずしもクライアント様がそれを望んでいる訳ではないということですし、毎度毎度ベストな(気持ちの良い)仕事にはならないんだなぁというのをこのケースから学びました。
何十年もこの稼業をやってきて意欲の低いユーザー様にも当たっているはずなのに・・・ね。
願わくばこれからシステム化をお考えの会社におかれましては、なるべく「こんな高機能使いこなせない」などと早急に結論を出される前に「この提案をきちんと運用するにはどうしたらいいか」をまず検討された上で結論を出して頂ければと思います。
そういう議論があれば「ではこうしては如何でしょうか」などの拡がりがあり、いいところに着地できる可能性が出てきます。
「使いこなせない」という言葉は生産的な議論を打ち切ってしまう言葉なのです。
もちろん現状維持がベストという事もありますし、現状維持のシステム導入を受けないという事ではありません。
しかしせっかく高額な費用を払ってシステムを刷新するチャンスなのですから、それをシャットアウトしてしまうのはもったいないなと思ってしまうのです。
【今回の補足】
・リテラシー : 簡単に言うとコンピューターシステムに対する知識や理解力の度合いの事を指します