システム導入に伴う注意点(デメリット・弊害)について
今回もシステムベンダー的にはネガティブなテーマとなります。
表面的には導入・運用コストが分かりやすいですが、それ以外にも様々な注意点が存在します。
今回はそのテーマでお話ししていきたいと思います。
まず私が考える最も大きな注意点は「業務の見直しを迫られる」点です。
これは表裏一体なので最大のメリットでもあるのですが、システム導入を躊躇されるユーザー様の多くはコストと双璧を成す程これを理由にされる事が多いです。
業務とは都度見直しをしてゆかなければならないもので、ずっと同じスキームで業務を回せる事はほぼないと思いますし、内的要因や外的要因によって大体年単位でどこか見直すべき部分が発生します。
「本来であればこうした方がいいけど、従業員への教育も大変だしこのままで」と言われるユーザー様もよく見かけますし、逆にシステムを操作する側の方からも「新しいシステムが導入されると仕事が減って雇用に影響するから」という理由で導入を抵抗されるケースもあります。
もちろん我々は導入後のメリットとして説明させて頂くのですが、こればかりは導入(雇用する)側と利用者(雇用される)側の意識が「システムを変える事によってもっと会社が良くなる」という方向に向いていないとなかなか難しいものがあります。
次の弊害として挙げられるのは「不要な機能まで盛ってしまう」点です
特にスクラッチシステム開発の場合、最初はミニマムな機能に限定しようと決めて始めても、打合せを進めていくうちに実現可能な機能が具体的にイメージできるようになると不要な機能を盛りがちになります。
これはほとんどのユーザー様に見られる傾向で、本来ならば議論が深まっているので良い傾向なのですが不要な機能だと止めるポジションがいない場合エスカレートしていきます。
これが行き過ぎるとただ要らない機能がぶら下がっただけでなく、全体のバランスも崩し運用が複雑になったり機能改修の足枷になったりするのでご注意下さい。
ご想像通り良くないベンダーと言うのは、全くストップを掛けずどんどん盛り、言われた事だけ機能化しましたというパターンです。
逆に良心的なベンダーは「この機能の使用頻度は?」とか「この機能を盛るとこんなメリデメありますが問題ありませんか?」などとユーザー様のイメージしやすい説明をして確認しながら進めます。
最後に挙げられるのは「セキュリティリスクの増大」です
システムを導入するという事はそこに大事なデータが存在するという事になり当然何かしらの防護策をかける必要が出てきます。
・そのデータが流失した場合会社がどんなダメージを負うのか
・誰が持ち出そうとするのか
・持ち出した本人はどんな利益があるのか
・どこで防御するのか
・どんな防御方法を採るのか
などを検討し防御策を備える必要があります。
もちろんベンダー側でも仕掛けは入れますが、往々にしてそれは性善説に基づいた仕掛けです。
つまり不正なアクセスについては防御出来ても正規のオペレーターに対しては無力である事が多いです。
システム構築の際はおざなりになりがちですが、是非この「誰にどんな権限を付与するか」という部分についても時間をかけて検討して頂きたいと思います。
【今回の補足説明】
・スクラッチシステム開発 : 既製品(パッケージシステム)の導入ではなく全て一から作り上げるタイプのシステム導入方式、一般的に高価と言われ数百万から数千万規模になる事が多いです。
・ベンダー : システムを導入・構築する業者のことです、弊社もここに含まれます。